写真は奈良の唐招提寺の軒裏(屋根の裏側)です。
唐招提寺は、どっしりとしながらも屋根のフォルムがきれいで私が好きな寺院建築の一つです。
平屋建ての屋根は遠目で見るとシンプルなのですが裏側から見ると多重構造で支えられているのがわかります。
垂木(屋根を支える細い木)やそれを支える斗組(ますぐみ)と呼ばれる木製の組物が重なり合いながら大きな屋根を支えているのです。住宅の軒は1mも出れば立派なもので、2mも出そうとすると柱が欲しくなりますが、唐招提寺は重い瓦を支えながらそれ以上、柱無しで出ています。
多重の部材や骨組みが絶妙なバランスで成り立っている構造としての機能美が唐招提寺の屋根の美しさかな、と思います。
そして、大きな軒裏は装飾されていなくても、屋根を支える部材が綺麗に収まっているので美しく見えます。
建築家のルイスサリバンが語った
「形態は機能に従う」
を地で行っているなぁと思います。
実は、建物を外から見ると軒裏はあまり気にならないのですが、室内から外を見ると意外と軒裏は目に入るものです。
最近は軒がない住宅も増えていますが、耐久性の面や日射遮蔽の面からも住宅には軒があるほうが良いと私は考えています。
そして、軒が長い家で外を眺めたい窓がある家では、軒裏も少しいい材料を使ってあげると外を見る雰囲気も良くなります。
どこかの先で雨宿りすることがあれば曇天ばかりを見上げずに、一度軒裏も観察してみてくださいね。
新しい発見があるかもです。