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多様化する高断熱住宅の現状と課題
最近、高断熱の家は当たり前になり、ここ10年でその意味合いも大きく変わってきました。国の断熱等級が4段階から7段階に増え、窓の性能も格段に向上。ペアガラスはもはや標準で、関西でもトリプルガラスの採用事例が増えています。
YouTubeなどでも断熱に関する話題は盛り上がりを見せていますが、その反面、断熱材の種類や工法が多岐にわたり、どの組み合わせが最適なのか、住まい手にとって非常に分かりにくくなっているのが現状です。
私自身もこれまで様々な断熱方法を研究してきましたが、自身の自宅建築で一つの答えにたどり着きました。それが付加断熱です。
付加断熱の驚くべきメリットと考慮すべき点
付加断熱とは、一般的な柱と柱の間に充填する断熱に加え、柱の外側にも断熱材を付加する二重断熱のことです。単に断熱性能が向上するだけでなく、実はそれ以外の大きなメリットがあります。
メリット1:内部結露の強力な抑制
断熱性能が高まるほど、冬場の室内温度は快適になりますが、その分、壁の中で結露(内部結露)が発生しやすくなることがあります。しかし、付加断熱は建物の外側にも断熱材を施すため、壁内部での急激な温度差が生じにくくなります。これにより、内部結露のリスクを大幅に低減できるのです。
メリット2:熱橋(ヒートブリッジ)の防止
**熱橋(ヒートブリッジ)**とは、断熱されている部分と比べて熱が伝わりやすい場所のことを指します。例えば、柱と柱の間に断熱材を入れても、柱自体は熱が伝わりやすいため、そこが熱橋となってしまいます。付加断熱では、柱や梁といった構造躯体も断熱材で覆うため、熱橋の数を減らし、建物全体の断熱性能を均一に向上させることが可能になります。
私の自宅での実証例
実際、私の自宅も付加断熱を採用していますが、夏も冬も室温が非常に安定しています。込み入った地域に建つ3階建ての家ですが、空気の流れを工夫することで、夏は3階のエアコン1台、冬は1階のエアコン1台で家全体を快適に冷暖房できています。
全館空調システムを導入しなくても、断熱効果を高め、空気の流れを最適化することで、少ないエアコンで年間を通して快適に過ごせるのです。断熱材の素材は多種多様ですが、適切な施工方法と組み合わせることで、その素材本来の性能を最大限に引き出すことができます。まさに、断熱工事は奥が深いと言えるでしょう。
デメリット:初期費用はかかるが、長期的な快適性でペイ
付加断熱は断熱材を二重に使うため、一般的な断熱方法と比較して初期費用がかかります。しかし、全館空調の初期費用やランニングコストを考慮すると、付加断熱による快適性と省エネ効果は、長期的に見れば費用対効果が高いと言えるでしょう。
あなたにも付加断熱をお勧めする理由
実際に付加断熱の家に住んでみて、その快適性は費用以上の価値があると実感しています。夏は涼しく、冬は暖かい、一年中ストレスフリーな暮らしを手に入れたいなら、付加断熱は間違いなく検討する価値のある選択肢です。

内部の断熱は高性能グラスウールを壁の中にしっかり充填もちろん防湿シート張り

外部には、フェノールフォーム系の断熱材45㎜を壁の外に張り巡らしています。